鶴見線 路線図・旅行・観光ガイド ブログ

鶴見線の廃駅 本山駅・鶴見駅のホーム・總持寺

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鶴見線とは

鶴見線は、横浜市鶴見区と川崎市に跨る京浜工業地帯の臨海部を走る鉄道路線で、主に沿線に点在する企業の事業所を結んでいます。始発の鶴見駅以外は全て無人駅、ダイヤも信じられないほどスカスカで、首都圏でありながら、ローカル線の佇まいです。

鶴見線の乗客のほとんどが、沿線の工場で働く従業員です。このため、通勤時間帯にあわせたダイヤが組まれていて、それ以外の時間帯は1時間に1~3本程度しか運行されていません。

また、各事業所を結んでいるという都合上、支線が多いのですが、ほぼ全てが鶴見駅始発になっています。このため、間違った行き先の列車に乗ると、途中の無人駅に放り出され、何十分も待たされることになります。大川行き、海芝浦行き、扇町行きは本数が少なく、特に大川行きは日中全く運行されないので注意が必要です。

JR鶴見線鶴見駅

鶴見線の路線図

JR鶴見駅
鶴見駅東口。

鶴見駅は、近代的な駅ビルと大きなバスロータリーがあり、都会的な駅です。JRの駅と京急線の駅が向かい合わせで建っていて、両線の乗り換えも容易です。駅前のバス停からは、鶴見線駅への路線も発着しており、行き先によっては、本数の多いバスの方が利便性が高いです。

鶴見駅東口バス乗り場
鶴見駅の東口バスロータリー。

元々鶴見線は、「鶴見臨港鉄道」という民間企業が敷設した私鉄であり、戦時下に国家買収されて、国鉄線となった経緯があります。このため、鶴見線のホームは他のJR線ホームから離れた場所にあり、ホームの構造も、JR線ではあまり見られない独特の造りになっています。

鶴見駅 鶴見線 改札
鶴見線乗り場には改札が設けられている。

鶴見線に乗り換えようとすると、何故か改札を通らなければなりません。この改札口は出口ではなく、鶴見駅での乗車記録を残すための“改札内改札”となります。鶴見線は、鶴見駅を除いて全てが無人駅のため、こうした措置が採られています。

鶴見線ホーム
鶴見駅の鶴見線ホーム。

鶴見駅の鶴見線ホームは、2面2線の頭端式ホーム。アーチ状の鉄骨が、昭和の優雅な雰囲気を演出しています。朝夕のラッシュ時に備えてか、ホームは広く確保されています。

鶴見駅 駅名標

かつて鶴見臨港鉄道は、鶴見駅を始発とせず、尻手方面への延伸を計画していたそうですが、戦時下で国有化されてしまったため、その計画は頓挫しました。結果的に、鶴見線の線路は鶴見駅では他線と繋がっておらず、乗り入れができない構造となっています。

鶴見線 線路
ホームの先端から鶴見線の線路を眺める。

列車が入線してきました。土曜の昼過ぎということで、乗客はまばらですが、沿線には住宅もあるため、一定の利用者がいるようです。

鶴見線 浜川崎行き
浜川崎行きの列車が入線。
鶴見駅 鶴見線ホーム
停車中の鶴見線。休日だが、それなりに乗客がいる。

鶴見線ホームは2面2線ですが、通常時は改札に近い3番線しか使用しません。4番線は、ラッシュ時に使われるようです。頭端式ホームのため、3番線と4番線はホームの先端で平面的に繋がっています。

鶴見線 頭端式ホーム
向かいのホームに回り込んでみる。

当然ながら、4番線には人影がありませんでした。ただ、清掃や補修は行き届いているので、ラッシュ時間帯には毎日使われているのでしょう。

鶴見駅 鶴見線先頭
鶴見線の先頭車両。

鶴見線乗り場

鶴見線ホーム 時計
年季の入った時計。

4番線の壁には、ひときわ年季の入った時計が設置されています。よく見るとプレートが付いていて、「皆さんお元気で」というメッセージとともに、「朝鮮民主主義人民共和国 鶴見地区帰国者一同」と書かれていました。

朝鮮民主主義人民共和国 鶴見地区帰国者一同
北朝鮮の帰国者一同の寄贈と書かれている。

戦時中、鶴見には在日朝鮮人が多く住んでいたそうで、在日朝鮮人の帰還事業により帰国することになった人々が寄贈したもののようです。

鶴見駅 4番線
朝のラッシュ時のみに使われる4番線ホーム。

ちなみに、3番線ホームと4番線ホームの間には、階段で行き来できる連絡通路があります。かなり立派な通路ですが、3番線側にロープが張られていて、通り抜けが規制されていました(4番線側からは侵入が可能)。

鶴見駅 連絡通路
3番線ホームと4番線の行き来に使われる通路。
鶴見駅 階段 立ち入り禁止
通常時は、3番線側が立ち入り禁止となっている。

しばらくすると、浜川崎の列車が発車しました。

鶴見線 始発
浜川崎行きの列車が発車。

本山駅(本山停留場)跡

本山駅は、現在の鶴見駅と国道駅の間にあった駅です。鶴見駅の西側に広がる總持寺の最寄り駅として開業しましたが、残念ながら、戦時下の1942年に廃止されました。

今回は、本山駅の跡地を経由して、国道駅まで徒歩で向かいます。

鶴見駅西口 鶴見線 高架

鶴見駅の西口を出て、鶴見線の高架に沿って歩きます。高架下には、古くからの飲食店が建ち並んでいて、味のある雰囲気を醸し出しています。

鶴見線高架下
鶴見線高架の脇を歩く。

かつて本山駅があった場所は、川崎鶴見臨港バスの車庫として使われています。川崎鶴見臨港バスは、鶴見臨港鉄道のバス事業を起源とする会社です。

本山駅 跡地 バス車庫
本山駅があった場所は、臨港バスの車庫になっている。
本山駅の痕跡
橋脚の間にある穴が塞がれていた。駅の跡だろうか。

よく見ると、橋脚の間に不自然に塞がれた穴がありました。この辺りに駅舎があったのかもしれません。

總持寺 鶴見大学
本山駅跡の真向かいにある總持寺。

本山駅の向かいには、總持寺に続く参道があります。總持寺の敷地内には、總持寺の関連法人が運営する鶴見大学もあり、広大な土地に建物が建ち並んでいます。

総持寺跨線橋
鶴見線の高架をくぐり総持寺跨線橋を渡る。

總持寺の近くには跨線橋があり、JR線を渡って反対側へ抜けられます。ちょうど本山駅があった場所に跨線橋の階段があるため、柵の隙間から、当時のホーム跡を眺めることができます。

本山駅 ホーム跡
本山駅のホーム跡が見える。

ちなみに、この場所には横須賀線や京浜東北線、東海道線のほか、貨物線も走っているため、跨線橋は13本もの線路を一気に跨いでいます。

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探索日
2014/03/08
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